「恋と愛の違いは?」
「下心と真心」
「それ以外に」
「……欲しいのか、与えたいのか、ですかね」
 なら、と夜沙子(やさこ)さんは問うた。
「欲する愛や、与える恋はないのかしらね」
「傍迷惑だと思います。前者は偽り、後者は押し売りだ。……相手が欲していないのなら、どちらも大差ないのでしょうけど」
 違いない、と彼女は笑う。
 入れ替わりにぼくが言う。
「第一そんなものの区別なんか、最初からついていないでしょう、そもそも」
 ぼくもあなたも。
 そしてそんなだからぼく達の関係は今まで続いていたのだ。
 違いない、とまた彼女は笑う。
「で、あなたは欲しいの? 与えたいの?」
「──分かりません」
 それで終わり。
 意味のない会話の、それが終局。
 意味のない関係の、それが終焉だった。










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